音楽性の基礎となっているFavorite CD10枚

自分の創る音楽を見つめ直す良い機会なので影響を受けたミュージシャンのアルバムを選んでみたいと思う。もちろん僕は音楽を聴くのもなにより大好きなので、なにか選べといわれても選べきれるものではないですね。でもまずは自分の音楽のルーツになるものを注意深く選んでみたました。
01/24/2004

Synchronicity

Synchronicity

The Police

まずは、僕がもっとも影響をうけたUKの3大バンド、の一つ目。ポップでスマートなトリオの代表作です。まずスティングの声や曲が大好きで、このバンドのレゲエ度やパンク臭さにもハマりました。そしてギターリストのアンディー・サマーズのやり方がすごく気に入りました。トリオという自由度の高いところに、空間系のエフェクターを駆使してバンドに色を付けていくところが最高。彼はジャズ系のバックグラウンドを持っており、最近は完全にジャズミュージシャンとして活躍しています。モンク、ミンガスの作品集をつくってしまうようなところも、共感します。

スラック・アタック(紙ジャケット仕様)

THRaKaTTaK

King Crimson

これもUKのバンド。作品が多すぎて選び切れないんだけれど、僕らしいこれを。ライブで演奏した即興演奏の部分を編集したアルバムです。このバンドはロバート・フリップのワンマンバンドになってきていて少々マンネリ気味なんだけど、どの作品を聴いてもいっぱいのアイディアとユーモアが詰め込まれている。高校生のころフランク・ザッパよりもこちらの方に影響をうけていたのは、やっぱりアメリカの空気と明るさよりもUKの雰囲気が好きだったんだと思う。ロック、ポリリズム、インプロビゼーション、ギターシンセ、サスティナー、スティック、サークルとすべてのキーワードが熱いバンドである。

Tin Drum

Tin Drum

Japan

UKのバンド三つ目。とにかくミック・カーンのフレットレス・ベースが大好き。ジャコよりも。この作品が出てから10年後くらいに日本で似たようなバンドがうじゃうじゃと湧いて出てきてたけど、クオリティーが全然違う。ヴォーカルのデイビッド・シルヴィアンはこのバンドのあとロバート・フリップや坂本龍一などと作品を作ってて、僕はそれらにも多々影響をうけています。

サターンズ・リターン
Saturnzreturn

Goldie

僕は1979年生まれなのですが、ポップミュージックに興味を持ち始める時期にリアルタイムで生まれて進化していた音楽って、もうすでにあまり残っていなかったような気がする。オルタナやグランジはもう終わりかけてた。ニルヴァーナも完全にリアルタイムではないし。ドラムンベースは僕の中で唯一、自分の音楽への興味とともにリアルタイムで進化していった音楽だ。そしてその中心にいたのがゴールディである。クラブミュージックにハマったのも最初はドラムンベースからで、もう自分の一番大切な部分になってしまった。

Bach: Goldberg Variations, Bwv 988 (1955)
Bach: Goldberg Variations

Glenn Gould

ものごころついた頃からピアノを弾いていて、両親もクラシックが大好きでいろんなレコードがあった。ヴァイオリンも始めて、ギターをやっているうちにクラシックギターの技術も身につけた。よく考えると僕も立派なクラシック出身のミュージシャンか。不思議なものでピアノをやっていた頃はロマン派やベートーベンが好きだったのに、ジャズを始めてからはドビュッシー以降の現代音楽とバッハのみ。それで十分な気もする。気分が落ち込んだり重大な決断に迫られて時に必ず聞くのがこのCD。傷がついたり、日本に置いてきて買い直したりでこれが三枚目。グールドというかバッハの代表作でもあり、グールドの若いときの方の音源です。

Machine Head
Machine Head

Deep Purple

CMとかどこかですでに聴いていたんだろうけど、本格的に聴いたのは高校生の時。王様のコピーバンドを学祭でやったとき(笑)オリジナルのほうから音を取り直して同級生たちと演奏した。そのころは80年代メタルやMr.Bigなんかも弾いたりしてたんだけど、こちらの方が新鮮で面白かった。なぜか不思議なんだけど僕のブルースギターのルーツはリッチー・ブラックモアである。このアルバムってけっこうブルース臭かったり12小節進行だったりする曲が入ってる。チョーキングする音とかビブラートとかかなり影響受けました。ブルースのミュージシャンをさかのぼって聴くようになったのは、かなり後になってから・・

MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK
Macross Plus Original Soundtrack

菅野ようこ

アニメが好きですが、これはアニメが好きだからハマったわけではありません。この音楽が、僕が本格的にアレンジやオーケストレーションに興味を持ち始めたきっかけです。菅野よう子 さんは今ではCMやアニメの音楽制作では超売れっ子となっていますが、これはそのきっかけとなった作品です。本格的にオーケストラアレンジをするのは初めてだったそうです。すげー・・このサントラのアニメのコンセプトにも影響をうけています。当時は画期的だったアニメでのCGの使用やバーチャロイド・アイドルの歌う声。これは映画フィフス・エレメントでも、似た感じのオペラ歌手の声の加工とかがあったり。こういうの大好きです。

MOTHER
Mother

LUNA SEA

中学生時代の青春・・いまだにすごいと思うのは僕が影響を受け続けていること。ギターを始めたときに真っ先に面白いと思ったのがSUGIZOの手法。僕の中で空間系のエフェクターの使い方の影響はここから始まり、エッジ、アンディー・サマーズ、エリック・ジョンソン、ビル・フリゼール、ベン・モンダーと派生していくのでした。ヴァイオリン?僕もやってました。しかもディレイをかけてみたりしたこともあるし。フランクザッパも、ドラムンベースもここから聞き始めた。極めつけはフレットレス・ギター。当時から二本ほどギターを犠牲にして試したりしていたが、そのままの感性で年をとっていったら、Berkleeであのデビッド・ヒュージンスキーにギターを習っていた僕・・・フレットレス・ギターもたっぷり教えてもらいましたよ。

Imaginary Day
Imaginary Day

Pat Metheny Group

やっとジャズの世界にやってきました。特にギターリストについて書こうとするとホントにCDを選びきれないんで、最初のきっかけから。JAZZ LIFEを読み始めたときにこのCDの発売の特集をやっていた。買ってみたらすごく衝撃をうけて、パットの作品は聴き漁った。影響を受けたのはギターというよりは曲とアレンジ。で、高校を卒業してからJAZZを始めた。だからジャズギターを弾きたくてジャズを勉強したんじゃなくて、こんな曲を書きたかったからジャズを勉強しはじめて、たまたまやってた楽器がギターだったというわけ。このあとグループ名義で次の作品を出してるけど、それはそれほど気に入らないから、これが最高傑作ということで。

Mingus at Antibes
Mingus at Antibes

Charles Mingus

ミンガスです。なにが何でもミンガスです。ジャズ界にあたらしい可能性を示したのですが、みんな半分くらい見て見ないふりをしている気がします。つまりまだまだ研究する価値がいっぱいあるということ。僕がBerkleeに来て最も大きな成果は、ミンガスを知って研究したということです。ちょうどJazz Compositionの一番えらい先生がミンガス専門家みたいな人だったので、ずっとその先生について研究しました。そしてドルフィーです。エリック・ドルフィーです。彼が最も優れた名演を残したのは、コルトレーンのバンドでも自分のバンドでもありません。ミンガスのバンドです。ジャズのサックスでは僕はテナーよりアルトの影響をたどって聴くのが好きです。パーカー、スティット、オーネット、ドルフィー、ジョン・ゾーン・・・かなり趣味は偏っていますが。

やはり全然書き切れません。とくにクラブミュージック、現代音楽、ジャズについてはまだまだ、紹介したいものがいっぱい。あとギターリストについては、別項で特集しないといけないですね。
01/24/2004